建築環境総合性能評価システムCASBEE(キャスビー)とは

建物の環境性能を評価する“グリーンビル評価システム”は世界に複数のものがあります。代表的なものは米国のLEED、英国のBREEAMですが、日本にはCASBEE(キャスビー)という評価システムがあります。今回はグリーンビル評価システムの概要や目的と共に、日本のCASBEEの特徴や導入メリットを解説します。

1. グリーンビルディングとは

グリーンビルディングとは、日本語では「環境配慮型建物」や「環境に優しい建物」などと訳され、英語では「ハイパフォーマンス・ビルディング」「サステナブル・ビルディング」または「グリーン・アーキテクチャー」などといわれる建物のことです。エネルギーや水、天然資源の使用量を抑え、空調設備などを含めた建物全体の環境性能が高い建物を指します。世界的に定義は統一されていませんが、多くの場合、環境への配慮と共に、建物の持続可能性や所有者・利用者の健康への配慮などの意味も含んでいます。

 

2. 世界の主要なグリーンビル評価システム

世界の主要な評価システムを下記に挙げます。

  • 米国:LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)
  • 日本:CASBEE(キャスビー/建築環境総合性能評価システム)
  • 英国:BREEAM(イギリス建築研究所建築物性能評価制度)
  • 中国:GBAS(緑色評価評文体系)
  • フランス:HQE(高環境品質認証)
  • オーストラリア:Nabers(オーストラリア建築環境格付け制度)
  • シンガポール:Green Mark(グリーン・マーク制度)

特に米国のLEEDは米国のみならず世界的に注目されており、日本においても2013年に一般社団法人グリーンビルディングジャパン(GBJ)が設立された後、認証が取得され続けています。2001年に開発されたCASBEE(キャスビー)は日本独自の評価システムです。

3.グリーンビル評価システムの目的

グリーンビル評価システムの目的は、建物の環境性能を一定の基準で評価し、基準を満たした建物に認証を与えることです。つまり、建物の高い環境性能を証明したい場合に、その建物を申請することで認証を得ることができます。

もちろん、認証を得ずとも環境性能を高めることは可能ですが、認証を受ける必要性の一つとして近年大きくなっていることに、投資家へのアピールになるという考え方があります。投資対象としての建物は、環境性能が客観的に評価されることで、より価値が高まります。

4.日本のグリーンビル評価制度「CASBEE(キャスビー)」とは

日本における「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)は、建築物を環境性能によって評価し格付けする手法であり、2001年4月に国土交通省住宅局の支援のもと、産官学共同プロジェクトとして建築物の総合的環境評価研究委員会が設立され、以降、継続的に開発とメンテナンスが行われています。

CASBEEの目的は、建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価することにあります。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用などの環境配慮と共に、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価します。

CASBEEの特徴として、「建築物のライフサイクルを通じた評価が可能」「『建築物の環境品質(Q)』と『建築物の環境負荷(L)』の両側面から評価する」「『環境効率』の考え方を用いて新たに開発された評価指標『BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)』で評価すること」といった3つの理念に基づいて開発されていることが挙げられます。

建築物の環境品質(Q)と建築物の環境負荷(L)

建築物の環境品質(Q)と建築物の環境負荷(L)

出典:CASBEE「評価の仕組みと環境性能効率(BEE)

また評価結果が5段階の「Sランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」によってランキングされる点も大きな特徴です。

BEEに基づく環境ラベリング

BEEに基づく環境ラベリング

5. CASBEE導入メリット

建物の建設、管理、販売等を行う際にCASBEEを導入するメリットとしては、環境性能を客観的に見える化できることにあります。

また、今後パリ協定の目標達成、国連におけるSDGs(持続可能な開発目標)の推進といった観点からも、住宅・建築物に対する環境配慮の社会的要求がより高まっていくと考えられます。さらに国が実施する生産性向上や就労者の健康増進施策からも、建築物の総合的な環境対策の必要性は高まっています。

こうした背景もあり、CASBEEの評価を受けることによって、数多くの社会的便益に貢献していることの証にもなります。例えば省エネ、省CO2対策、断熱化等による健康増進、疾病予防対策、QOLの工場、快適な職場環境による知的生産性の向上、劣化対策や耐用性向上による建物の長寿命化、ヒートアイランド対策、生物多様性への配慮、地域景観との調和、資源リサイクル向上などです。

また、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構によると、2017年2月現在、全国の24地方公共団体が建築主に対して、新築・増改築する際にCASBEEの評価結果を届け出する義務のある制度を導入しています。届け出件数は2004年4月から2016年3月にかけて年々増加し続けており、2016年3月末までに累計18,500件を超えています。

自治体の導入メリットとしては、建築主に届出をさせることにより、環境施策の達成状況や進捗状況を把握できる点があります。さらに国や自治体を通じて、CASBEEで高い評価を得た建物に対してインセンティブを与えることで、環境性能が高い建物の建設を誘導することができることもメリットと考えられています。

 

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