空調機器の能力・効率の単位(計算式)~冷凍トン, COP, IPLV~

ターボ冷凍機やチラー等の能力や効率を表す際、様々な単位が使われます。ここでは、空調機器に関連する代表的な単位について解説します。

計算式の前に~冷凍と熱の基礎~

「冷凍(Refrigeration)」とは何でしょう?

冷凍は、ある物質の熱を除去し、それを別の物質に移すプロセスのことを言います。例えば、家庭用冷蔵庫は食品を冷たく保ちますが、これは熱を除去し、食品が持つ熱の量を低く保っている状態を表しています。

次に、「熱(Heat)」とは何でしょう?

熱は一種のエネルギーであり、地球上のすべての物体は、「強度(Intensity)」と「量(Quantity)」で測れる熱エネルギーを含んでいます。熱の「強度」は、摂氏(°C)または華氏(°F)で測定されます。物体から全ての熱を取り除くと-273.15 °C(-459.67 °F)の「絶対零度」と呼ばれる最低温度に到達し、全ての物質原子の活動が停止します。

一方、熱の「量」は強度とは異なります。例えば、広大な砂漠には物理的にたくさんの熱が含まれていますが、火のついたろうそくには高い熱量が含まれています。

もう少し具体的な例として、コップに入った水で比較します。図の2つのコップに入っている水の温度と量は違いますが、実は同じ熱量です。なぜでしょう?左の小さいコップには、右の大きいコップよりも質量単位当たりの熱量が多く含まれています。左の方の温度が高い、すなわち熱エネルギーとして強度が高いのです。物質の温度が、熱エネルギーの量を表すものではありません。

この熱量は、kcal(キロカロリー/英国熱量単位ではBTU)という単位で測定され、水1kgの温度を1℃上昇させるのに必要な熱エネルギーの量と定義されています。

冷凍能力の単位

ターボ冷凍機は、ビルや工場などの空調を目的とした熱源機の一つであり、主に大規模施設の空調設備やプロセス冷却に活用されています。冷凍トン(Refrigerating ton)とは、ターボ冷凍機など主に大型の冷凍機の能力を表す単位で、冷凍容量と単位時間当たりの熱量のことです。小型チラーなどはKcal/hやkW等で表されます。

冷凍トンには「日本冷凍トン:JRt」と「米国冷凍トン:USRt」の2種類があります。一般的にはUSRt表記が標準で、トレインでもUSRtを用いて冷凍能力を示しています。トレインでは、200~4,000 USRtのターボ冷凍機をラインアップしていますが、1 USRtは12~16畳用の家庭用エアコン程度の能力とイメージしていただくと良いでしょう。

冷凍トンの計算式

冷凍トンは、24時間(1日)かけて0℃の「水」を0℃の「氷」にする熱量の事を言います。米国冷凍トン、日本冷凍トンの違いは、計算の基本となる水の重さの違いです。

米国冷凍トンの計算式

重さ2,000ポンド(2,000 lb=907 kg)の0℃の「水」を24時間かけて0℃の「氷」にする熱量です。0℃の氷の融解熱(固体が液体になるのに必要な熱量)を144 BTU/lb(79.68 kcal/kg)として計算します。

1 USRt    =(2,000 lb x 144 BTU/lb)÷24 h

                = 12,000 BTU/h

                = 12,000 BTU/h x 0.252 kcal/h  ※1BTU/lb = 0.252 kcal/h

                = 3,024 kcal/h

                = 3,024 ÷ 860

                = 3.516 kW

 

日本冷凍トンの計算式

重さ1トン(1,000 kg)の0℃の「水」を24時間でかけて0℃の「氷」にする熱量です。製氷、薬品冷却等では日本冷凍トンJRtが用いられることがあります。

1 JRt    = (1,000 kg x 79.68 kcal/kg)÷ 24h

            = 3,320 kcal/h

            = 3,320 ÷ 860

            = 3.86 kW

 

米国冷凍トン・日本冷凍トン換算式

実務上、下記の換算式を覚えておくと便利で役立つでしょう。

1 JRt       = 1.098 USRt

1 USRt    = 3,024 kcal/h = 3.517 kW

冷凍機の効率:COPとは?IPLVとは?

次に、ターボ冷凍機やエアコンを選定する上で、最も考慮しなければならない項目の一つが効率です。この空調機器のエネルギー消費効率を表す指標として、一般的にCOP(Coefficient Of Point:成績係数)やIPLV(Integrated Part Load Value:期間成績係数)が用いられます。それぞれ数値が大きいほど、エネルギー効率が良いとされています。

COPが定格条件において算出された係数であるのに対し、IPLVとは年間を通じての負荷、冷却水温度の変動から、簡易的に年間を通した効率の判断ができるように定められたものです。4つの負荷時(100%負荷/75%負荷/50%負荷/25%負荷)のそれぞれの年間における運転割合とCOP値から計算します。

日本の各協会では台数分割、負荷割合、部分負荷時の冷却水温度を検討中であり、この期間成績係数が冷凍機の効率評価として判断される可能性があります。

COP(成績係数)の計算式

COP = 冷凍能力(kW) ÷ 消費電力(kW)

 

ターボ冷凍機の場合の実用的な計算式

COP= 定格冷凍能力(USRt) ÷ 定格消費電力(kW)  ÷  0.2845

IPLV(期間成績係数)の計算式

IPLV = (年間の100%負荷運転割合 x A)+(年間の75%負荷運転割合 x B)+(年間の50%負荷運転割合 x C)+(年間の25%負荷運転割合 x D

  • A=100%負荷時のCOP  B=75%負荷時のCOP  C=50%負荷時のCOP  D=25%負荷時のCOP

このIPLV計算式をもう少しわかりやすいように可視化してみましょう。

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2つの規格~ IPLV-AHRI と IPLV-JIS ~

IPLVには、米国のAHRI(米国冷凍空調工業会)で規程された「 IPLV-AHRI 」と、日本のJIS(日本工業規格)の「 IPLV-JIS 」の2つの規格があります。両者の違いは温度条件(冷却水入口温度)と年間の重みづけ(期間%)で、日本では IPLV-JIS が主流となっています。

IPLV-JIS 計算式

IPLV-JIS = (0.01 x A)+(0.47 x B)+(0.37 x C)+(0.15 x D

  • A=100%負荷時のCOP  B=75%負荷時のCOP  C=50%負荷時のCOP  D=25%負荷時のCOP
  • 算出基準は JIS B 8621:2011 に基づく
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IPLV-AHRI 計算式

IPLV-AHRI = (0.01 x A)+(0.42 x B)+(0.45 x C)+(0.12 x D

  • A=100%負荷時のCOP  B=75%負荷時のCOP  C=50%負荷時のCOP  D=25%負荷時のCOP
  • 算出基準は AHRI 550/590:2003 に基づく
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IPLV算出例

上記の計算式を踏まえ、1,500トン定速ターボ冷凍機の例で IPLV-JIS を算出してみましょう。

 

IPLV    = (0.01 x 6.35)+(0.47 x 7.72)+(0.37 x 8.50)+(0.15 x 6.76

            = (0.06)+(3.63)+(3.15)+(1.01)

            = 7.85

IPLV-JISの計算結果は 7.85  となりました(IPLV-AHRI では 7.95)。

ご参考までに、米国ではIPLVの他にNPLVも使われます。IPLVがAHRI(米国冷凍空調工業会)規格の定格条件で選定された冷凍機の期間成績係数を表すのに対し、NPLVはAHRIの定格を外れた条件で選定された冷凍機の期間成績係数を表すものです。Non-Standard Part Load Valueを略してNPLVと呼ばれます。

最後に

実際の物件において、年間負荷パターンや冷却水温度が判り、その分析結果から年間の運転割合や部分負荷時の冷却水温度がIPLV計算式の数値と違う場合は、計算式の数値を分析結果の数値に変えて計算することも必要です。IPLVはあくまで簡易に年間の成績係数を求めるためのものです。年間負荷パターンや冷却水温度から詳細にシミュレーションすることが最も良い方法であることは間違いありません。

しかし、IPLVは誰でも簡易に算出することができます。そのため、冷凍機採用時の判断材料の一つとして活用いただくことをお勧めいたします。

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