IPCC総会で「2050年ごろまでに温暖化ガス“実質ゼロ”必要」採択へ

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年10月1日~6日まで開いた総会で採択した報告書では、2030年にも世界の気温が産業革命前に比べて1.5℃上昇すると警告。同時に、気温上昇を1.5℃前後に抑えるには、世界の二酸化炭素(CO2)排出量について、2030年までに「10年比45%の削減」、2050年ごろまでに「実質ゼロ」を実現する必要があることが強調されました。

IPCCの歴史上、最も重要な会合の一つに

IPCCとは、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織で、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的としています。2018年10月1日~6日に韓国・仁川で開かれた第48回総会には130カ国以上の政府関係者と約50人の科学者が参加しました。

今回の総会についてIPCCの李会晟(イ・フェソン)議長は「IPCCの歴史上、最も重要な会合の一つだ」と強調し、「気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な発展及び貧困撲滅の文脈において工業化以前の水準から1.5℃の気温上昇にかかる影響や関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)排出経路に関する特別報告書(1.5℃特別報告書)」について議論され、受諾されました。

2030~52年に世界の気温が1.5℃上昇する可能性

報告書では、2030~52年に世界の気温が1.5℃上昇する可能性が高いことが告げられました。そして豪雨や洪水、干ばつなどの異常気象のリスクが高まり、海面も2100年までに0.26~0.77メートル上がると指摘されました。すでに世界の気温は約1℃上昇していることから、各国に大規模な温暖化対策の実施を求めました。

温暖化ガスの排出量と削減量を差し引きでゼロとする「実質ゼロ」が必要

気温上昇を抑えるには、産業活動などによる温暖化ガスの排出量と、植物などが吸収する 削減量を差し引きでゼロとする「実質ゼロ」が必要だと報告されました。対策は、エネルギーや産業、建築、運輸、都市などの広範囲の分野に及ぶ必要があり、報告書では次のように分析しています。例えば、エネルギー分野では50年までに再生可能エネルギーによる発電を総発電量の70~85%にまで引き上げ、CO2排出が多い石炭火力による発電をほぼゼロにしなければならないということです。

「2℃」ではなく「1.5℃」

温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、気温上昇を2℃以内に抑えることを目標にして議論が進められています。しかしIPCCの報告書では1.5℃までの上昇に抑えることが望ましいと述べられており、1.5℃に抑えた場合、海面上昇のリスクにさらされる人々を1000万人ほど減らせる可能性も示しました。

COP24にも影響し、各国に厳しい対策が求められる見通し

1.5℃までの気温上昇抑制の実現には、温暖化ガスの排出削減を加速する必要があります。これを受け、2018年12月にポーランドで開かれる世界的な温暖化対策を話し合う第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)の議論にも影響を与え、各国に厳しい温暖化対策が求められると見通されています。

 

参考

 

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