全世界で目指す、持続可能な開発目標「SDGs」

近年のグローバル経済の発展に伴い、地球規模で気候変動、自然災害、感染症などの課題が発生し、経済成長や社会問題にも深刻な影響を及ぼす時代に入っています。このような中、世界では先進国も開発途上国も含めた国々が、地球規模の課題解決の目標を掲げ合意した「SDGs」(エスディージーズ)の存在があります。今回は、この「SDGs」の概要や日本の進捗度などを解説します。

SDGs(Sustainable Development GOALS)とは

2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標」です。

2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193ヶ国がそれぞれに、2016年~2030年の15年の間に世界を変えるための17のゴールと、それぞれのゴールに対する計169のターゲットが国際目標として合意されました。そして、「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

SDGs

SDGsの特徴

SDGsで取り上げられている課題は、途上国の開発を促すような、ただ経済を成長させれば解決するものばかりではありません。例えば、経済成長により貧困を解決するだけでなく、不平等や格差、及び環境面、社会面をも含んだ課題をも解決しなければならないと示唆しています。

また17のゴールのうちの「13.気候変動」は地球温暖化に関わる課題です。国連開発計画UNDP(*1) 駐日代表事務所は、このゴールについて「内陸国や島嶼国(*2)など、影響を受けやすい地域の強靭性と適応能力を強化する一方で、意識を高め、国の政策や戦略に気候対策を盛り込む取り組みも必要」と説いています。

(*1)   UNDP:国連開発計画

(*2)   島嶼国:島々から構成されており、大陸から距離が離れていることから開発上、困難を有する開発途上国のこと。

世界と日本の進捗度

SDGsは開発途上国だけでなく、先進国自身が取り組むユニバーサルなものです。持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2017年7月に発表したSDGsへの取り組みの進捗度を比較したランキングによると、日本は157ヶ国中11位という結果になりました。

日本は「4.教育」「8.成長・雇用」「9.イノベーション」に関しては高く評価されたものの、「5.ジェンダー」「12.生産・消費」「13.気候変動」「15.陸上資源」「17.実施手段」の評価が低い結果となっています。特に「13.気候変動」について評価が低かった項目には「エネルギー関連のCO2排出量」もありました。

世界全体を見渡してみると、1位はスウェーデンで、「1.貧困」「3.保健」「4.教育」「7.エネルギー」への取り組みが高く評価されました。2位以下はデンマーク、フィンランド、ノルウェー、チェコ、ドイツ、オーストリア、スイス、スロベニア、フランスとなっています。

今後の課題と期待

今、世界的に地球環境が危機的状況に直面していることは周知の事実です。地球温暖化、生物多様性、森林保全などの問題は日に日に悪化しています。こうした状況に対し、従来の大量生産・消費への問い直しが迫られており、その解決策が模索され続けています。一方で、世界経済はますます膨れ上がり、各国における貧富の格差や資源枯渇、環境悪化は深刻化しています。このような地球規模の課題を包括するSDGsにおいて、各国が抱えるそれぞれの課題に対する取り組みに期待が高まっています。