政府が決定した令和元年「夏季の省エネルギーの取組について」の概要

政府は、これまでに公表した「長期エネルギー需給見通し」(2015)、「第5次エネルギー基本計画」(2018)や、地球温暖化対策推進本部による「日本の約束草案」(2018)、「地球温暖化対策計画」(2016)等の閣議決定を踏まえ、各方面に対して省エネ、地球温暖化防止対策を実施するため、エネルギー需要が増す夏季(6月~9月)と冬季(11月~3月)それぞれについて取り組みをまとめています。

先日5月21日には、令和元年の「夏季の省エネルギーの取組について」が決定しました。その内容を簡潔にご紹介します。

1. 国民運動の展開

COOL CHOICE

政府は、産業界や政府、国民が一丸となって徹底した省エネルギーの取組を行う、行動喚起型の国民運動「COOL CHOICE」を展開し、国民の地球温暖化対策に対する理解と協力への機運の醸成や消費者行動の活性化等を通じて、省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品への買換え・サービスの利用・ライフスタイルの選択など地球温暖化対策に資するあらゆる賢い選択を促しています。

省エネルギー・脱炭素社会への転換は、我慢を強いるのではなく、無駄を省いて快適に生活するもので、具体的な行動に結びつけていくために、きめ細かな情報提供や普及啓発活動、全国的な国民参加型の省エネルギーキャンペーンの強化、クールビズの実施徹底、自治体の庁舎・建築物の省エネルギー改修・建替え、「家庭エコ診断」の継続等を実施します。

2. 産業界

産業界、地方公共団体、NPO等に対し、次の内容について事業者および家庭等に省エネルギーの呼び掛けを行うよう、協力要請、周知を行うとしています。

 

1)住宅・ビル等関係について

(a)住宅・ビル等の省エネルギー対策

  • 省エネルギー基準を踏まえた新築、増改築、改修等

ビル、住宅等の新築、増改築、改修等にあたり、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律「建築物省エネ法」の基準を踏まえ、断熱材の利用や、設計・施工上の工夫による熱負荷の低減など、積極的なエコ住宅の新築や断熱改修等のエコリフォームに努めることとしています。

  • エネルギー消費性能の表示

ビル、住宅等の販売または賃貸を行う事業者は、その建築物について、省エネ性能表示のガイドラインに基づき、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」などのエネルギー消費性能を表示するよう努めることとしています。

  • エネルギー管理システムBEMS・HEMS等の導入

ディマンドリスポンス(エネルギーの供給状況に応じて、スマートに消費パターンを変化させること)に対応した時間帯別・季節別の電気料金メニューが選択できる場合は活用に努めること、エネルギー管理システム(BEMS・HEMS等)の導入により、ビルの運用方法やピーク対策および省エネルギーに努めることとしています。

  • 省エネルギー診断やESCO事業等の活用

ビル等においては、省エネルギー診断やESCO事業等を活用し、より高効率な 設備・機器の導入や適切な運転方法への見直し等により、省エネルギー化を進めることとしています。

(b)エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入

家電機器、OA機器等のエネルギー消費機器の購入にあたっては、エネルギーの使用の合理化等に関する法律「省エネ法」に基づくトップランナー基準の達成状況を示す「省エネルギーラベル」、および米国環境保護庁が定めた「国際エネルギースターロゴ」が表示されたものや、政府、事業者等が提供するエネルギー消費効率に関する情報等を参考としつつ、省エネルギー性能の高い機器の選択に努めることとしています。

また、機器の選択にあたっては、初期投資負担を伴うものの、省エネルギーにより、その投資が中長期スパンで回収できることに留意することも述べています。

  • 販売事業者はきめ細やかな情報提供を

エネルギー消費機器の製造・輸入事業者・小売事業者は、省エネルギーラベル、国際エネルギースターロゴ、統一省エネルギーラベルの表示により、省エネルギー性能に関するきめ細かな情報提供に努めることとしています。

(c)機器の効率的な使用

冷蔵庫、照明、冷房等の代表的な機器については、効率的な使用方法が紹介されています。

 

2)工場・事業場関係について

工場・事業場においては、省エネ法に基づくエネルギー管理の取組を推進すること。特定事業者においては、平成28年度から開始の「事業者クラス分け評価制度」によるSABCの評価も踏まえた取組を行うことが示されています。

自主的な省エネルギーの取組の推進

2020年及び2030年に向けた産業界の地球温暖化対策の自主的取組である「低炭素社会実行計画」を策定している事業者は、技術的に最高水準の省エネルギー機器・設備の導入及び設備のきめ細かな運転の管理等により、省エネルギーの取組を徹底して推進することとしています。

未策定の事業者においても、参加する業界団体等と連携して計画の早期策定に努めるとともに、策定に至るまでの間も、未使用エリアの消灯の徹底や、適切な空調温度管理等、自主的・計画的に省エネルギーの取組を徹底して推進することとしています。

 

3)運輸関係

運輸分野については、省エネ法に基づく取組方針の策定など、適切なエネルギー管理を実施することとしています。

移動については、できる限り鉄道、バス等の公共交通機関を利用することや、近距離は徒歩や自転車での移動、道路交通混雑の緩和のための時差通勤の促進に積極的に取り組むこと。自動車の購入に当たっては、環境性能に優れた自動車(エコカー)の導入に努めること。自動車の利用に際しては「エコドライブ10のすすめ」(ふんわりアクセル、減速時は早めにアクセルを離す、ムダなアイドリングはしない、タイヤの空気圧を適正に保つ等)の実践、交通渋滞の軽減に資するシステムの利用、自動車利用をできる限り控え、省エネルギーに努めることを挙げています。

4)その他

その他、PDCAサイクルによるエネルギー効率の継続的向上等を達成するため、エネルギー管理システム規格(ISO50001)の導入の検討や、残業の削減、事業の合理化、従業員の省エネルギーの知識や技能の向上、従業員自らが実践するための研修・シンポジウム等への参加機会の提供を挙げています。また各地域の政府機関、地方公共団体、経済団体、消費者等は、情報共有・連携を図ることも示しています。

3. 政府

政府は、自ら率先して省エネを進める旨を示しています。

空調、照明、電気機器等に関する適正な管理などの具体的な取り組みのほか、自動車関連においては2030年までに次世代自動車の導入促進を目標とすることや、公用車の効率的利用と自動車の積極的利用も挙げています。

庁舎等については、省エネルギー化に向けた対応、グリーン庁舎の整備及び調達、庁舎へのできる限りのESCO事業導入検討を挙げています。

エネルギーの普及啓発については、省エネ普及活動、省エネ教育充実、省エネ型ライフスタイルの定着などを挙げています。

その他

  • 電気の供給の入札・落札に環境配慮

電気の供給を受ける契約において、入札に参加するには「温室効果ガス等の排出の程度を示す係数」、「環境への負荷の低減に関する取組の状況」、「電源構成および温室効果ガス等の排出の程度を示す係数の開示状況」等の資格を設け、それを満たす者の中から落札者を決定する方式を活用する等、環境配慮契約法の基本方針を踏まえた契約締結を示しています。

  • ヒートアイランド対策

地方公共団体、事業者、住民等と連携して対策を進め、地域全体のヒートアイランド軽減に向けて取り組む旨を示しています。

  • エネルギー使用量の把握及び職員の意識向上

フロア等の空調、照明等のエネルギー使用量を適切に把握し、機器を最適に制御するため、BEMSの導入・活用を検討すること、そして把握したエネルギー使用量の職員への公開などを通じて、職員の省エネルギーへの実践意識を高めるよう努めることを示しています。

【参考】

経済産業省「夏季の省エネルギーの取組について

 

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